2009年07月26日
【ウラ物語Vol.12】第4回

第2部 足跡 ※第1部はコチラから ※第3部はコチラから ※第4部はコチラ
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第1話(7月10日) 引き金
第2話(7月13日) 第1回
第3話(7月17日) 第2回
第4話(7月20日) 第3回
第5話(7月24日) 第4回
第6話(7月27日) 第5回
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展覧会を辞めてみて、島の人の反応を知りたかった、のが2006年。
そうかと思えば、過去最高人数のアーティストを呼んできたのが2007年である。
2007年の展覧会での、アーティスト参加者数は45人だ。

ケンタの通う京都造芸術大学の学生約20人と、
林太郎が通う東京造形大学の学生とその仲間約20人。
「ちょうど甑島に行きたいっていう人がこの年増えたんですよ。
で、どこまで人を呼べるか試してみようって思いもありました」
毎年、毎年が実験である。
走りながら正解を探してきたプロジェクトだったのだと思う。
で、フタを開けてみたらどうだったか。
「本当、大変でした。ケンタがこの年、体調崩して入院することになって、
僕一人で45人のアーティストをみなきゃいけなかったんですよ。」
さすがに、林太郎はこの年自分の作品を創る時間はなかった。
見てください、この作品数。(これでも半分くらいです)

■ボランティアとして、島には貢献
「人数がたくさん来たから、稲刈りとか、温泉の掃除とか、夏まつりの準備とか
肉体的な面では島に貢献できたと思うんですよ。
ただ、アーティストの人数が多すぎて、作品の制作に緊張感を欠きました。
誰かがいいものを創るだろう、みたいな。」

実際に作品の数は多かったけれど、第1回、第2回の展示会に比べて、
全体的に作品の規模も質も下がってしまった。
それでも、1つ1つの作品は、いいものもいっぱいあったのだ。
2007年の作品展示に、島の人の温かさが感じられるエピソードがあったので、1つ紹介したい。
■影で支えられる作品展示
西の浜に沈む夕日を見ながら、「ここでも、昔作品展示があったんだよ」と、
姉の純子から聞いたのを思い出す。
その作品が、2007年の上田裕子さんの作品「ありのままに進みゆく」だ。

甑島特有のたまいしを浜に積み上げた作品。
西の浜の夕日とセットで鑑賞する作品だ。
ところが、このたまいし。すぐ崩れてしまうのである。
近くに住む島の人が、「また崩れてる!」と言っては、
朝、晩、交代、交代でたまいしを積み直してくれた。
島の人の温かさが、夕日のようにじんわりと心に染みてくる。
■影があるから、光がある。
さて、2007年を振り返ってみて何が一番大変だったのか。
それは、「45人のアーティストが、今どこで何をしているかを把握することだった」と林太郎は言う。
「いつもは、すべてのアーティストがどこで制作しているかの場所を把握してたんですけど、
この年は僕が場所を紹介したのは8人。
他のアーティストは、全員自分で場所を探しました。
すると、誰がどこで何をしてるか全然わからなくなっちゃうんですよ。
漁師さんと仲良くなって海に連れてってもらったりしたアーティストもいれば、
子供と遊んでいたアーティストもいて。
どこかで事故が起きたらどうしよう、とひやひやしました」
管理ができない事が、緊張感の欠如につながった。
実際、島の人達からの作品の評価もいまいちだった。
ずっとアーティストの作品を毎年見ている島の、鑑賞する目が肥えてきた証拠だと思う。
展覧会がなくなれば、「寂しい」と声が出て、
やってみれば「レベルが下がった」と言われる。
それも大事な試練だったのだろうけど、渦中の人間は大変だったと思う。
「2006、2007年の2回は暗黒の年でした。2006年は、展覧会をしなかった、という意味で。
2007年は運営面の失敗で。でも、純粋に『楽しかった』という意味では、
アーティストは2007年が一番楽しかったんだと思います。
人数が多い分、飲み会も多かったですし。
それに、2007年があったから、いろんなことが整理されました」
そう、この2007年の大冒険を機に、決まったことがたくさんある。
アーティストは15人程度にしようと決めたこと。
展覧会の開始時期をお盆時期から、月末に変更し、制作期間を長くとること。
覧会受付の設置すること。
アーティストの作品の方向性をある程度選ぶこと。
限界までやってみて、初めて自分のキャパシティが分かった。
「試行錯誤して、無茶して馬鹿なことして、2007年で懲りたって感じです。実験はもう終了!って」
2007年の経験があったからこそ、2009年の自治体フェアグランプリ受賞があるのだ。
「実験はもう終了」と林太郎は言うけれど、2008年もやっぱり実験は繰り返されている。
2008年の実験は、世界の壁に挑戦する、という実験。
トライ&エラーが止まないことは、このプロジェクトの魅力でもあるんだろう。
その話は、また次のウラ物語へ引き継ぐことにしたい。
▲ウラ物語トップに戻る。
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いつも読んで頂いてありがとうございます。
「人数がたくさん来たから、稲刈りとか、温泉の掃除とか、夏まつりの準備とか
肉体的な面では島に貢献できたと思うんですよ。
ただ、アーティストの人数が多すぎて、作品の制作に緊張感を欠きました。
誰かがいいものを創るだろう、みたいな。」

実際に作品の数は多かったけれど、第1回、第2回の展示会に比べて、
全体的に作品の規模も質も下がってしまった。
それでも、1つ1つの作品は、いいものもいっぱいあったのだ。
2007年の作品展示に、島の人の温かさが感じられるエピソードがあったので、1つ紹介したい。
■影で支えられる作品展示
西の浜に沈む夕日を見ながら、「ここでも、昔作品展示があったんだよ」と、
姉の純子から聞いたのを思い出す。
その作品が、2007年の上田裕子さんの作品「ありのままに進みゆく」だ。

甑島特有のたまいしを浜に積み上げた作品。
西の浜の夕日とセットで鑑賞する作品だ。
ところが、このたまいし。すぐ崩れてしまうのである。
近くに住む島の人が、「また崩れてる!」と言っては、
朝、晩、交代、交代でたまいしを積み直してくれた。
島の人の温かさが、夕日のようにじんわりと心に染みてくる。
■影があるから、光がある。
さて、2007年を振り返ってみて何が一番大変だったのか。
それは、「45人のアーティストが、今どこで何をしているかを把握することだった」と林太郎は言う。
「いつもは、すべてのアーティストがどこで制作しているかの場所を把握してたんですけど、
この年は僕が場所を紹介したのは8人。
他のアーティストは、全員自分で場所を探しました。
すると、誰がどこで何をしてるか全然わからなくなっちゃうんですよ。
漁師さんと仲良くなって海に連れてってもらったりしたアーティストもいれば、
子供と遊んでいたアーティストもいて。
どこかで事故が起きたらどうしよう、とひやひやしました」
管理ができない事が、緊張感の欠如につながった。
実際、島の人達からの作品の評価もいまいちだった。
ずっとアーティストの作品を毎年見ている島の、鑑賞する目が肥えてきた証拠だと思う。
展覧会がなくなれば、「寂しい」と声が出て、
やってみれば「レベルが下がった」と言われる。
それも大事な試練だったのだろうけど、渦中の人間は大変だったと思う。
「2006、2007年の2回は暗黒の年でした。2006年は、展覧会をしなかった、という意味で。
2007年は運営面の失敗で。でも、純粋に『楽しかった』という意味では、
アーティストは2007年が一番楽しかったんだと思います。
人数が多い分、飲み会も多かったですし。
それに、2007年があったから、いろんなことが整理されました」
そう、この2007年の大冒険を機に、決まったことがたくさんある。
アーティストは15人程度にしようと決めたこと。
展覧会の開始時期をお盆時期から、月末に変更し、制作期間を長くとること。
覧会受付の設置すること。
アーティストの作品の方向性をある程度選ぶこと。
限界までやってみて、初めて自分のキャパシティが分かった。
「試行錯誤して、無茶して馬鹿なことして、2007年で懲りたって感じです。実験はもう終了!って」
2007年の経験があったからこそ、2009年の自治体フェアグランプリ受賞があるのだ。
「実験はもう終了」と林太郎は言うけれど、2008年もやっぱり実験は繰り返されている。
2008年の実験は、世界の壁に挑戦する、という実験。
トライ&エラーが止まないことは、このプロジェクトの魅力でもあるんだろう。
その話は、また次のウラ物語へ引き継ぐことにしたい。
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Posted by KOSHIKI ART PROJECT at 07:26│Comments(0)
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